スターウォーズEP9 スカイウォーカーの夜明け 感想
最高!ありがとうJJ!!
この映画は批評家の評判が悪く、批判的な意見が沢山ある作品でありますが、ハッキリ言ってこれがベストです(この方向性では最適解)
そもそもスターウォーズ(以下SW)は特別な作品であり、理解が必要です
一作目のEP4はその後の様々な創作物に影響を与えました
大きな要素として3つ
①視覚効果と音響の技術革新
②アメリカンニューシネマ以前の大作、冒険活劇への回帰、それと黒澤明の時代劇の影響
③現代的若者たちの青春ストーリーとおとぎ話のミックス
まず、あまりにも斬新で衝撃的だった部分の魅力を続編で再現することできません
平たく言うと「こんな映画みたことない!」という新しさは続編にはないということです、あったとしたらそれはもう別の映画でいいということです
ではSW以降の作品と比べてSWにしかない魅力は何かというとその世界観です
また、特徴的なのはその独特な設定や世界観を劇中で説明しないということです
これにより観客の想像力を刺激しワクワクさせてくれます
この余白が多く懐が深いところこそがSWなのです
ドロイドや言語の異なる異星人、仮面で表情のわからないキャラなど意思疎通ができない登場人物とのやりとりも同様に想像力が刺激されます
ボバフェットやダースモールなど寡黙なうえバックグラウンド不明な時のほうが魅力的なのです
つまりSWは続編を重ねるほどに新鮮さを無くし、スピンオフを重ねるほどに余白がなくなり想像の余地がなくなる部分は仕方なしというわけです
SWの続編のアプローチはパターンわけされます
・JJエイブラムスのお約束踏襲
・ライアンジョンソンのお約束逆張り
・ローグワン、ハンソロのスピンオフにより余白埋め
・マンダロリアンの世界観を共有した別の話し
結論としてどのパターンだとしても2次創作に過ぎないということです
JJエイブラムスのEP7とEP9は
オリジナリティは全くないですが、オリジナルの魅力を理解してるので「SWを観てる」と1番感じさせてくれました
天気の子 感想
オススメ度:君の名はが好きな人には100%
大ヒット作の「君の名は」の新海誠作品です
はっきり言って前作よりも作家性が強い作品です
率直に感想を言うと、作品の完成度はより高まったものの「君の名は」のほうが好きだなって感じです
作家性の強い作品を自信をもってこれだけの規模で公開できること自体凄いことですし、はっきりと突き抜けた潔さが気持ち良い
ごちゃごちゃ説明しないところ、エモーショナルな演出は見事!細かいところが気になる自分の方が間違ってる感じがしてきます
比べてしまって申し訳ないですが
作家性を強く出したのにハンパに説明してしまった細田守監督の「未来のミライ」より思いっきりがいいんですよね
前作「君の名は」のほうが好きといいましたが、その理由は「天気の子」のほうが安定感があるんです
作品として成熟しているんですが
「君の名は」のほうが見ていてハラハラしたんですよね単純に
(ハラハラはストーリーにではなくて、作品としてどう転ぶかにですけど)
こちらの作品「天気の子」はおそらく賛否がハッキリと別れると思います
そしてどんなに否定的な意見を言っても、言ってるほうがヤボな人になってしまう力強さがあります
※以下、ネタバレ
言うだけヤボといいましたが、脚本とリアリティラインは驚くほど稚拙です
おそらく新人の小説家や漫画家が同じプロットを出版社に持って行ったらボツか大幅な直しを食らうレベルです
でも逆にいいんです
あえて、この10代の素人が書いたような話を恥ずかしげも無く堂々と展開することで
作品全体が青臭く瑞々しい空気に包まれるのです
セカイ系と呼ばれる閉じた男女の話が世界全体に影響する展開はお馴染みですが、一応ひと捻りあります
まるで大事のような世界の形がどうのっていうフレーズは何回か聞かされますが、主人公も観客もまあいいか〜程度の着地となります
あまり暗くならないのがいいですよね
ガチの不満点は、主役の男女が恋に落ちる経緯が弱いことです、もうちょっとお互い惹かれていく描写があればクライマックスに乗れた感があるのと
警察を振り切ってまで救いに行ったあの子に、保護観察中だからと遠慮はするんだとか
警察官にタックルするの多めとかね
おっといけない!ヤボなこと
ラストの再開シーンはグッときましたね
思ったよりストレートでサラッといくので逆に意外ですよね
スパイダーマン ファーフロムホーム 感想
オススメ度:100% ヒーロー映画にお腹いっぱいの人にもオススメ
すごく面白いです
エンドゲームで相当なスケールでやったあとに公開された今作
ヒーロー映画としても屈指の名作だと思います
まず、キャストのアンサンブルが素晴らしいです
登場人物が魅力的でとても心地良いです、学園青春モノ要素でありながら今回はクラブの旅行なので登場人物が絞られているのでよりわかりやすいです
フューリーの部下のデミトリとか着替えを勧めるお姉さんや
悪役一味のバスを運転する人まで端役のひとりひとりまで気が利いています
次にアクションがすごい
スパイダーマンは何度も映画化していますので、手から糸出してビョーンは最早既視感しかないのは仕方ないのですが、それでもあらかじめ貼ったネットに下から着地して反動を使うなど新しい動きで楽しませてくれます
ヨーロッパ各地のロケーションがキレイで旅行気分も味わえますし、何というかいい意味で軽いのが丁度よくて、ヒーロー映画が大好きって訳でもない人にもオススメの一作です
※以下、ネタバレ
前作のホームカミングに引き続き、好きな子に告白したい話しと悪いヤツを倒す話しが並行するのですが
前作よりも境目がスムーズになっていて違和感なく両方楽しめます
もちろん前作は2つのストーリーラインが合流するところがキモなので当たり前なんですけどね
あらためて前作をみるとヒロインポジションのリズが可哀想ですよね
さんざんすっぽかされて本人悪くないのにお別れでしたから
しかも、ピーターったら今作の冒頭からケロっとMJに夢中だし
今作は前作より群像劇っぽいのでピーターの恋愛だけに比重がいっていないのはかえって良かったと思います
MJはヒロインにしては出番が少ないですけど、そのせいかさわやか恋愛感があるんですよね
テッドやハッピーの恋愛模様もストーリーにはいらない要素ともとれますが面白いのでオッケーです
フラッシュやブラッドのイヤなヤツポジションがそれほど憎めないのも上品です
主人公がヒーローとして自覚する話しがメインライン
スタークの遺した良いものと悪いものの対比
てか、スターク起因のトラブルMCUに割と多いですよね
敵役も正体を偽っていますが、ピーターも正体を隠している共通点
非常に良くできています
細かいところですが、終わった後あらためて考えると炎のエレメンタルズと戦うシーンでスパイダーマンが投げた岩が効果あったり、敵の攻撃からバリアを使って守ったりしてましたけど
あのシステムそんなにアドリブが効くとようには見えませんよね
あと、敵役に関しては子ども向けヒーローものにありがちな未遂で終わってる問題があります
具体的な犠牲者がでている描写がないのと、友達を殺そうとしますが結果的に殺してないので悪党感が弱いんです
器物破損と殺人未遂で死刑は重い感があります
まあ、犠牲者はて出たんでしょうね、たぶん
ロープ 戦場の生命線 感想
オススメ度:100%
紛争地域でロープを探す話しです
戦争を描く映画ですが、ひと味違います
主人公たちは非武装で人道活動として井戸の衛生のため働くチーム
いい役者が揃っていて演技力で飽きさせません
ちゃんと上手い伏線が張ってあり非常によくできた作品です
以下、ネタバレ
この映画の素晴らしい点は、銃撃戦や爆破は一切無しで、戦争を描いていることです
ロープをとって戻るだけの話に説教臭くなく戦争の悲惨さ愚かさを十分に伝えてくれます
まあ、浮気話しっぽいエピソードは余計だったと思いますけど
サーチ 感想
オススメ度:100%
全編パソコン画面のみで進行するサスペンス映画です
メールやSNSを最大限に生かした展開
文字を打ったけど送信しないとか画像や動画をフォルダーわけするとかの動作で主人公の心情表現をしたりと終始アイデア満載です
脚本にも隙がなく数々の伏線がさりげなく仕掛けてあり見応え抜群です
ネットやパソコンに疎い人にもわかりやすいようにある程度配慮されていますし
また、ハッキングなど専門的な方向にいかないのも良心的
独特な臨場感があり主人公と一緒に謎解きを楽しめます
以下、ネタバレ
ずっとパソコン画面というのがウリのためそのシチュエーションを生かしまくって楽しいのですが
そのぶん、登場人物が少ないので真犯人は容易に予想できてしまいます
伏線の回収も信頼できるつくりなので、そのせいでミスリードも簡単に見破れます
あまり入り組んだ話にすると難解になるのであえてかもしれません
それと、後半になるとカメラでリアルタイムで撮ってるからとか
報道系カメラ映像とかもパソコンで見てるからということで多用され
パソコン画面を意識しない展開が多くなっちゃってはいます
それでも主人公と犯人の行動が我が子のためにという動機は同じで裏表
多少のご都合展開は許せるラスト
真相が明らかになるときの「あれこの人どっかで見た!」の瞬間
と優れた部分のほうが上回るよい作品です
メアリー&マックス 感想
オススメ度:オトナなら感動間違いなし! アニメだけどコドモは退屈しちゃうと思う
オーストラリアのクレイアニメです
アニメですが淡々としたテンポでナレーション中心で進み絵的な活劇はなく、内容としてもかなりオトナ向けです
だけど、オトナなら必ず心が揺さぶられるとっても良い映画です
内向的でいじめられたりのオーストラリア在住の8歳の少女と
肥満に悩むアスペルガー症候群のアメリカ在住の44歳のおじさんが
文通する話しです
2人の人物を終始客観的視点と手紙を通しての内面を描いていく、文学的な映画です
それなのに固苦しくなく、価値観の押し付けもない軽い感じで進み
大仰な感動シーンもないまま
終わった後にはじんわり感動してしまう素晴らしい作品です
※以下、ネタバレ
この映画の注目すべき点は、物語の途中でメアリーは名声をマックスは巨万の富を得ることです
どちらかというと孤独で不幸な2人に物語としてハッピーな結末を一度提示するのです
見ている観客はここで、よかったねーと大部分の人が感じるところです
ところが2人ともあっさりそれらを手放してしまいます
その後、最初より状況が悪化してないか?というところまでいきますので、このあたりちょっと見てるのがつらいのです
そしてこの映画でもっとも素晴らしいラストシーンにつながります
物語の表面的にはバッドエンドなのに人物の内面的にはハッピーエンドという、感動と余韻が染み渡ります